
Bリーグは2026年10月13日、2025-26シーズンのクラブ決算を発表した。B1からB3までのクラブとリーグを合わせた営業収入(いわゆる売上)は1,013億円。前のシーズンの810億円から25.1%伸び、初めて1,000億円を超えた。
2016年に開幕したBリーグは、2025-26シーズンで10シーズン目を終えた。リーグは公式サイトで、開幕初年度からの10シーズン分のクラブ決算を公開している。その数字を並べると、日本のプロバスケットボールクラブがこの10シーズンでどれだけ大きくなり、何で稼ぐようになったのかが見えてくる。そしてその変化は、クラブで働く人の仕事にもつながっている。
📋 目次
1,013億円、初めての大台
まず、2025-26シーズンの主な数字を確認しておく。
- リーグ全体(B1〜B3のクラブとリーグの合計)の営業収入:1,013億円(前年比25.1%増)
- B1(26クラブ)の営業収入:合計694億円、1クラブ平均26.7億円
- 入場者数:612万人(前年比9.9%増。B1〜B3の合計で、オールスターとポストシーズンを含む)
- 債務超過のクラブ:B1・B2ともに0
クラブ単体では、アルバルク東京の営業収入が92.4億円となり、Bリーグのクラブとして過去最高を更新した。2位以下は千葉ジェッツ59.0億円、宇都宮ブレックス40.4億円、琉球ゴールデンキングス38.6億円。上位4クラブの合計は200億円を超える。
一方で、B1・B2の40クラブのうち13クラブは赤字だった(前年は15クラブ)。成長しているからといって、すべてのクラブの経営が楽になっているわけではない。
10シーズンでどう伸びたか——B1平均は6.4億円から26.7億円へ
B1クラブ1つあたりの平均営業収入を、10シーズン並べると次のようになる。B1のクラブ数は18から26に増えているため、合計ではなく平均で比べている。
B1クラブの平均営業収入(Bリーグ「クラブ決算概要」より)
開幕初年度の2016-17シーズン、B1の平均営業収入は6.4億円だった。それが2025-26シーズンには26.7億円となり、約4.2倍になった。
伸び方は一定ではない。Bリーグ自身は今回の資料で、この10シーズンを「黎明期」「コロナ禍」「B.革新転機」の3つのフェーズに分けて振り返っている。新型コロナウイルスの影響を受けた2019-20シーズンから2020-21シーズンにかけては、平均9億円台で足踏みした。大きく伸び始めたのは、Bリーグ資料が「B.革新転機(2022~)」と位置づける時期以降だ。資料は、構造改革によって事業成績とアリーナをライセンスの審査基準にしたことを、その理由に挙げている。
Bリーグの島田慎二コミッショナー(当時の呼称はチェアマン)は、2026年4月14日のメディアブリーフィングで、事業規模の伸びについて「大きなアリーナが誕生したということと、クラブ数が2つ増えたところも要因」と述べた。ワールドカップ効果のあった2023-24シーズンの後も成長が続いた理由については、「私はB.革新がもたらした結果だと思っています」と語っている。当時、リーグは2025-26シーズンの事業規模を965億円と見込んでいたが、決算の営業収入はそれを上回る1,013億円となった。
何で稼いでいるのか——収入の半分近くはスポンサー
では、B1クラブは何で稼いでいるのか。2025-26シーズンのB1の営業収入694億円の内訳は、次のとおりだ。
- スポンサー収入:316億円(45.6%)
- 入場料収入:158億円(22.8%)
- その他(物販、ユース・スクール、リーグ配分金などを含む):219億円(31.6%)
B1クラブ合計の営業収入の内訳(Bリーグ公表資料からSporpath算出)
最大の柱は、今もスポンサー収入だ。ただ、その比率は開幕初年度の53.9%から45.6%に下がった。代わりに伸びたのが「その他」で、24.2%から31.6%に増えている。B1・B2の合計について、Bリーグの資料も「スポンサー収入の増加に加えて、アリーナ開業等によりその他の収入も増加」と説明している。
入場料収入の比率は、開幕初年度とほぼ同じ2割強だ。ただし金額は、2016-17シーズンのB1合計25億円から、158億円へと6倍以上になった。クラブ数の増加を差し引いても、チケットで稼ぐ力は大きく伸びている。
Jリーグと並べてみると
参考までに、Jリーグの公表資料(2025年度)では、J1クラブの平均売上高は65.1億円だった(3月決算の柏、湘南を除く18クラブ。2025年2〜6月の5カ月決算である岡山を含む)。B1の平均26.7億円は、J1の半分に届かない。一方で、アルバルク東京の92.4億円は、J1の平均を上回る規模になっている。
収入に占めるスポンサー収入の比率は、J1が40.6%、B1が45.6%。BリーグはJリーグよりも、スポンサー収入の比率が高い傾向がうかがえる。なお、両リーグは決算期や収入の区分が異なるため、数字は目安として見ていただきたい。
売上が伸びると、クラブで働く仕事はどう変わるか
平均の売上が4倍以上になれば、それを生み出し、支える仕事も増える。
最も大きな柱であるスポンサー収入は、B1だけで316億円にのぼる。この金額は、地域の企業一社一社と向き合い、協賛の価値を提案し、契約を更新していくスポンサー営業の積み重ねでできている。入場料収入158億円の裏には、チケットの販売戦略や集客のマーケティングがある。アリーナを中心に伸びる「その他」の収入は、試合の日の体験づくりや、試合のない日のアリーナ活用といった新しい仕事を生んでいる。
Bリーグの資料は、特に大きく収入を伸ばしたクラブの要因の一つとして、「M&Aをきっかけに、戦力強化中心に投資を行ったり、組織体制や労働環境を整えたこと」を挙げている。選手への投資だけでなく、クラブを動かす組織への投資も、成長を支える要素として示されている。
トップチームの人件費も、B1合計で260億円(前年比29.9%増)に増えた。それでも、営業収入に占める比率は37.4%にとどまる。営業費用(683億円)のうち、トップチーム人件費を除く約423億円(営業収入の約6割)は、事業を回すための費用だ。クラブ別の決算概要によると、主なものは販売費および一般管理費(約190億円)と試合関連経費(約126億円)で、ほかにトップチーム運営経費(約41億円)、グッズ販売原価(約36億円)などがある。営業や集客、フロントスタッフの人件費は、一般に販売費および一般管理費に含まれる。
Sporpathではこれまでも、こうした仕事を掘り下げてきた。スポンサー営業については「スポンサーセールスとは」「JリーグとBリーグで、スポンサーセールスの仕事はどう違うのか」で、集客とチケッティングについては「満員のスタジアムは、どうやって作られるのか」で、試合運営については「『また来たい』を作る、試合運営の仕事」で詳しく紹介している。
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Bリーグは今季、B.PREMIERを頂点とする新しい体制に移った。Bリーグ自身が資料のなかで「B.革新2026-27シーズン以降で真価が問われる」と書いているとおり、本当の勝負はここからだ。クラブの事業が大きくなるほど、それを支える人の力が問われる。
注記
- 数値はBリーグが公表した各シーズンの「クラブ決算概要」に基づく。クラブによって決算期が異なり(3月決算など)、シーズンと決算期間が一致しない場合がある。
- B1のクラブ数は、2016-17〜2019-20が18、2020-21が20、2021-22が22、2022-23〜2024-25が24、2025-26が26。クラブ数の変動や、開幕初年度の一部クラブの決算期間(12カ月未満)の影響があり、単純比較はできない。
- 「リーグ全体」の範囲は年度によって異なる。2025-26シーズンの1,013億円は、B1〜B3のクラブとリーグの合計。
- 比率はSporpathがBリーグ公表資料の数値から算出した。図の3つのフェーズは、Bリーグ資料の表記(黎明期:〜2018、コロナ禍:〜2021、B.革新転機:2022〜)を各シーズンの開始年に当てはめたもの。
- 記載内容に誤りがあった場合は、Sporpath事務局(info@sporpath.com)までご連絡いただきたい。確認のうえ修正する。
参考・出典
- Bリーグ — 経営情報(各シーズンのクラブ決算概要) https://www.bleague.jp/about/management/
- Bリーグ — クラブ決算概要 発表資料(2025-26シーズン) https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/club_financial_settlement_2025.pdf
- Bリーグ — 2025-26シーズン クラブ決算概要 https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/financial_settlement_2025.pdf
- Bリーグ — クラブ決算概要 発表資料(2016-17シーズン) https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/club_financial_settlement_2016.pdf
- Bリーグ — Bリーグ事業規模が965億円に到達見込みと発表(2026年4月17日) https://www.bleague.jp/media_news/detail/id=594720
- Bリーグ — B.LEAGUE代表理事CEOの呼称変更のお知らせ(2026年2月12日) https://www.bleague.jp/news_detail/id=547255
- Jリーグ — クラブ経営情報開示資料(2025年度、2026年5月26日発行・7月24日更新) https://aboutj.jleague.jp/corporate/assets/pdf/club_info/club_doc-2025.pdf