Sporpath Career Interview-岡田明彦氏


徳島ヴォルティスで20年以上にわたり強化担当としてクラブの昇格・発展を支え、2014年から10年間は強化責任者を務めた岡田明彦氏
現在は選手の代理人事務所「SARCLE」でフットボールダイレクターとして活躍する岡田氏に、クラブの強化責任者としての視点から、どのようにスタッフを採用し、育成し、チームを築き上げてきたのか。
採用する側の視点から、キャリア形成の手がかりを探りました。

岡田明彦氏 SARCLEのフットボールダイレクター
1974年9月9日生まれ 群馬県出身

大学卒業後、徳島ヴォルティスでアシスタントコーチや育成年代監督、強化本部長を歴任し、クラブ全体の強化やフットボールフィロソフィー策定に尽力。2014年からは強化責任者を務める。2024年9月よりSARCLEのフットボールダイレクターとして活動を開始。

目次

  1. 徳島での20年:クラブ強化責任者としてのキャリア
  2. クラブの成長を支える「人材採用」の鍵
  3. プロフェッショナルな人材を見極める視点
  4. 日本サッカーの発展に必要な市場の変化
  5. おわりに

徳島での20年:クラブ強化責任者としてのキャリア

ー岡田さんのこれまでのご経歴について、改めてお聞かせください。

大学卒業後、徳島ヴォルティスの前身クラブである大塚製薬サッカー部に指導者として加入しました。クラブが徳島ヴォルティスへと移行してから2024年までの20年以上を徳島で過ごし、アカデミー監督、強化担当、その後10年間は強化責任者としてトップチームの強化に携わりました。
昨年3月末に徳島ヴォルティスを離れ、現在は選手代理人事務所 SARCLE でフットボールダイレクターとして活動しています。

ークラブのスタッフ編成や契約には、強化責任者になられてから本格的に関わられたとのことですね。

はい。強化責任者としては、選手・監督・スタッフのリクルーティングから契約まで一貫して担ってきました。
どのように人材を発掘し、契約し、クラブとともに成長していくか。
常に「今はこうだが、その先どうあるべきか」という中長期視点を持ち、クラブの価値向上につながる全体像を描きながら進めていました。

監督のリクエストとクラブのビジョンをどう組み合わせて編成していくのか、そのバランスは難しいところで、監督の要望だけでなく、アカデミーも含めたクラブ全体がビジョンのもとで成長・発展できるよう、編成していました。


クラブの成長を支える「人材採用」の鍵

ー人材の選定基準として、特に重視していたことは何でしょうか?

まず大切にしていたのは、クラブの歴史を理解している人を配置することです。成功も失敗も含めて積み重ねていくためには、過去を断絶させず、未来につなげる存在が必要だからです。

そのうえで、それぞれが持つストロングポイントを掛け合わせ、チームとして最大限の力を発揮できるようにプロファイルを定義していました。そのシーズンの目標達成に向けてスタッフ陣の課題を洗い出し、短期ではなく長期的に成果が出るアプローチを重視します。
また、専門性の高い分野は可能な限り分業化すべきだと考えていました。予算は考慮すべきですが、未来を見据えてストレングスを組み合わせる体制づくりに力を入れていました。

ー スタッフを実際に採用するプロセスを教えてください。

まず、必要とする人材のプロファイルを定義するところから始まります。
情報収集は強化部全体でアンテナを張り、人的ネットワークを最大限に活用します。ネットワークは非常に重要ですが、それだけでは選択肢が偏ります。そのため、Sporpathのような幅広い選択肢を提供してくれる存在は大変ありがたいですね。
基本的には複数の候補から最適な人材を選びますし、選択肢が多いほど、より良い人材と出会える可能性は高まります。


プロフェッショナルな人材を見極める視点

ースタッフの選定において、重視することは何ですか?

最も重視していたのは、パーソナリティと信頼性です。
そのうえで自己表現力や、他にはないストロングを持っているかを見極めます。
また、面接では表情の変化にも注目していました。緊張している若い候補者が、話すうちに徐々に良い表情になっていく。そうした変化は、集団の中でも成長していく姿につながると考えています。


ーキャリアアップしていく人材に共通する特徴はありますか?

共通しているのは「素直さ」と「本質を捉える力」だと思います。
うまくいかない時に周囲がネガティブな雰囲気になっても、冷静に状況を把握し「本質はどこか」を見極められる人材は、どこへ行っても評価されます。また、考え方が柔軟な人は成長し続けます。


ー選手と違い、スタッフの評価は難しいと思います。どのように評価していましたか?

「取り組みと成果」、そして成長のプロセスを長い目で評価していました。
定性的な評価は難しいですが、「できなかったことができるようになったか」「気づけなかったことに気づけるようになったか」など、変化や向上心を重視して見ていました。

ー評価において、大切にしていた視点は何でしょうか?

監督や選手など多様な視点からの情報を踏まえつつ、最終的には責任者である私自身が直接見て、話して判断することを大事にしていました。
面談では、良かった点と課題を丁寧に伝え、「もし契約を継続するなら、次はここを改善してほしい」と共有します。また評価額や条件だけでなく、「このクラブでどうキャリアを築きたいか」「次のシーズンの目標は何か」を徹底的に話し合います。
来季に向けた編成の終盤になって、突如、契約非更新の意向を伝えられ慌てた経験もあったため、「実は他のクラブへの移籍も考えている」と早期に話してもらえる信頼関係づくりを非常に重視していました。


日本サッカーの発展に必要な市場の変化

ー近年、日本サッカー界の人材市場でどのような変化を感じていますか?

現代サッカーではアナリストや、ポジション別コーチ、また栄養士などチームのスタッフの役割が細分化され、専門性を高めるための人材がより多く必要になっています。
一方でそれを育成する教育機関や機会はまだ十分ではありません。
若い人材が知識・経験をどう得ていくか、どのような入り口の元スポーツクラブでキャリアをスタートできるのかを悩むケースも多く、環境整備の必要性を強く感じます。

ーセットプレーコーチなど、ヨーロッパでは専門性が評価されていますね。

そうですね。例えば日本サッカーの場合、ディフェンスセットプレーの分析は守備の部分はGKコーチが担うことが多いですが、その責任の重さは見合っているのか、そもそも適任か否かの観点で問題と捉えられます。

専門性ある分業化されたスタイルがスタンダードだと思って来日する海外監督が、「セットプレーに長けた専門コーチを」と求めても、そのプロファイルが存在しない場合もあります。
だからこそ、若くて経験がなくても、「セットプレー分析に特化したアナリスト」など、明確な武器を持った人材が出てくれば非常に面白い。
ストロングがあれば、必要としているクラブに自然とフィットする――適材適所のリクルーティングはますます重要だと考えています。

ー日本サッカー全体を見た際の市場の課題とは何でしょうか?

クラブとして「どの方向に進むのか」「フットボール的にどう課題を改善していくのか」という意思決定が、必ずしも組織として機能していないケースがあります。それらは大きな課題、成長の余地があると思います。

ーそれは経営にも紐づく課題ですね。

その通りです。
特にフットボール以外のバックグラウンドを持つ経営者が多いクラブでは、「説明しやすい実績」が人事の基準になりやすく、フットボール的な視点が軽視されることもあります。
今後、クラブ経営において「フットボール軸」で意思決定できる人がどれだけ増えていくか――そこが日本サッカーの発展にとって極めて重要だと感じています。


おわりに

Sporpathは「オープンな市場の実現」を目指します。
岡田氏の話にもあったように、属人的なネットワークのみに頼らず、広く人材市場の中からクラブにとって最適な人材を、適正な価格で採用できる。健全でプロフェッショナルな競争を促し、結果的に日本のスポーツ産業の発展につながっていく。
その為のクラブが広く人材にアクセスできるインフラになるべく、歩みを進めていきたいと思います。
更に、今後は専門人材の育成機関や環境作りにも貢献してまいります。


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